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特別展示室

特別展示室では、タイムリーなトピックとして取り上げられた収蔵遺物を紹介しています。

近野遺跡の木組み遺構

青森市近野(ちかの)遺跡は隣接する特別史跡三内丸山(さんないまるやま)遺跡とともに沖館川の右岸段丘上にあり、平成12年度から県立美術館(「総合芸術パーク」)等の建設事業に伴う発掘調査が進められてきました。

木組み遺構のレプリカ
木組み遺構のレプリカ

今回レプリカ(複製品)を作製した「木組み遺構」は、近野遺跡から三内丸山遺跡を通り抜けて沖館川に合流する小支流の最上流域で発見されました。この小支谷では、「木組み遺構」のほか、縄文時代中期後半(今から約4,000~4,500年前)の遺物、トチの皮の破片等が多量に出土しています。「木組み遺構」は、1.7×1.0mほどの長方形に木枠を組んだもので、小支谷を流れる湧水を受けるための施設とみられます。「木組み遺構」から約2m下流ではトチの皮が約1.0m四方の範囲に集中して発見され、周辺から石皿や敲き石も出土しています。こうした出土状態からみて、この場所では縄文時代中期後半のトチの実の加工に係わる作業を行ったことが考えられます。

トチの皮などの実物の切り取り
トチの皮などの実物の切り取り

トチの実を含めた木の実類は縄文時代の重要な食料の一つですが、サポニンやアロインといった非水溶性のアクが強いトチの食用化には、灰や流水を利用した複雑なアク抜き工程を必要とすることから、縄文時代においても比較的新しい時期に開発された技術と言われています。縄文時代のトチの実加工の作業工程がうかがえる遺構は、現在のところ極めて出土例に乏しく、後期・晩期のものが少数発見されているにすぎません。保存状態が良い近野遺跡の「木組み遺構」等からトチの実のアク抜き工程などが復元されれば、全国的にも最古級のものと言える中期後半の稀少例となります。

「木組み遺構」等が発見された小支谷の東側の台地上には、竪穴住居跡や掘立柱建物跡、土坑などで構成される縄文時代中期後半の集落があり、「木組み遺構」等はこの集落の人々が利用したものと考えられます。中期後半の集落の一部は既に特別史跡三内丸山遺跡に指定されていますが、トチの実利用の痕跡を示す「木組み遺構」等のような生活感のある遺構は、三内丸山遺跡近隣においても初めての発見です。そこで、「木組み遺構」等も含めて中期後半の集落を現状保存し、その学術的価値を明らかにするとともに、「縄文」をテーマとしている「総合芸術パーク」構想のなかで今後の整備・活用を検討することになりました。(県埋文センター 工藤大)


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