所蔵遺物2点が県重宝に指定される

 青森県埋蔵文化財調査センターが所蔵している七戸町二ッ森貝塚出土の「鹿角製櫛(ろっかくせいくし)」と青森市近野遺跡出土の「人物線刻石冠(せっかん)」の2点が平成25年4月17日(県報登載日)、県重宝に指定されました。
 
1.七戸町二ッ森貝塚出土「鹿角製櫛」
鹿角製櫛
●大きさや形など
  長さ11.4cm、幅3.9cm、厚さ2~2.5mm。頭部中央にあけられた直径1.5cmほどの円孔を中心に放射状に切り込みが入れられており、頭頂部両端と頭部上半には径約5~6mmの小円孔が計7ヶ所あけられています。また、両側には鋸歯状の切り込みと中央の円孔に向かって切り込みも入れられています。歯は4本作り出されており、長さは、先端が欠損してはいますが、少なくとも5cm以上です。

●発見の経緯など
  二ツ森貝塚は上北郡七戸町字貝塚家ノ前にあり、小川原湖南西部に注ぐ七戸川(高瀬川)北岸の標高25~30mの段丘にあります。東西約600m、南北約170mの範囲を持つ本県最大の貝塚であり、平成10年1月16日付けで東側半分が国史跡に指定されています。
 この鹿角製櫛は、昭和37年8月に道路改良工事に先だって青森県教育委員会が調査を行った際に、2号貝塚9区の第2貝層上部より発見されました。この貝層からは縄文前期末葉の完形土器が出土しており、鹿角製櫛はこの時期のものと判断されます。

●特徴
  縄文時代の装身具は、青森県では既に縄文早期後半から使われており、頭髪を巻いて留めるための鹿角製の棒状のかんざしが八戸市の赤御堂貝塚などから発見されています。前期には、そのほかに歯を4、5本作り出した挽歯式の櫛も使われるようになり、本品のほかに八戸市一王寺(1)遺跡や東北町東道ノ上(3)遺跡、つがる市石神遺跡などからも発見されています。しかし、これらの多くは欠損部が多く、しかも装飾が施されていません。本品は、これらのものと比べて、欠損部が少なく、完全形が推測できるものです。
 本品に施されたみごとな装飾は、縄文前期及び後続する中期の時代を含めたいわゆる円筒土器文化の装身具のなかでは、傑出したものであり、当時の人々の装飾観念、骨角製品の製作技術の高さをうかがわせるものとして重要です。

●展示場所
 青森県立郷土館(青森市本町2-8-14)2階の考古展示室に常設展示されています。


2.青森市近野遺跡出土「人物線刻石冠」(石冠写真は小川忠博氏撮影)

●大きさや形など
 砂岩製の完形品で、高さ6.1cm、幅7.4cm、底部の厚さ4.1cm。平面形はやや横に長い長方形、頂部はややカーブした鋭い刃部状で、底部は二等辺三角形です。正面に幅1~1.5mmほどの刻線で、人体が三体表現されています。このうちの二体は上下に横たわった姿勢で、一体は左側に倒位の姿勢で表現されています。頭部はいずれも丸い点で表現され、眼や口などの表現はありません。また、肩は怒り肩、足は「がに股」状で、この時代の土偶と類似した形状です。両足の先端部及び二体の両手には、指とみられる突起が5ヶ所に大きく表現され、もう一体の一方の手は十字形です。

●発見の経緯など
 近野遺跡は、沖館川南岸の標高10~20mほどの段丘上にあり、国特別史跡三内丸山遺跡の南東部に隣接しています。平成15年8月に、県立美術館及び県道建設事業に先だって、青森県埋蔵文化財調査センターが発掘調査を行った際に、C区捨て場から出土しました。その後、平成18年7月、発掘調査報告書作成中に、人物線刻が確認されました。
  
●特徴
 縄文時代の絵画資料は、全国的に見て出土例が非常に少ない状況です。この中で、青森県では中期の線刻人物画や後期の狩猟文土器・人体文土器などが知られており、他県に比べて恵まれた状況にありますが、これらの資料はいずれも土器に表現したもので、石器に表現した絵画資料となると、非常に少なく、特に人物画は皆無でした。
 本品は人物線刻が描かれた縄文時代後期の完形品であり、しかも発掘調査によって出土したため、資料的にも信憑性が高いものです。石器に描かれた人物画としては、全国的にも希有な出土例であり、貴重な資料と言えます。

●展示場所
 青森県立郷土館(青森市本町2-8-14)2階の考古展示室に常設展示されています。


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